折れ耳が可愛い!スコティッシュフォールドの特徴と遺伝的なリスク

あの丸いお顔に、ちょこんと折れ曲がった耳が何とも愛らしいスコティッシュフォールド。見ているだけでも癒やされますよね。ですが、この折れ耳には骨や関節に関わる遺伝的リスクが潜んでいることも事実なんですよ。今回は獣医師の視点から、スコティッシュフォールドの健康を守るために押さえておきたいポイントをお伝えしていきますね。
1. 折れ耳が可愛い!スコティッシュフォールドの特徴と遺伝的リスク
● 折れ耳の秘密
スコティッシュフォールドの折れ耳は、耳の軟骨形成不全が原因ですね。耳だけでなく、しっぽや四肢など、体の関節に影響を及ぼす可能性があるんですよ。個体差はありますが、骨軟骨異形成症や関節の変形を起こしやすいといわれています(参考:日本獣医師会)。
● 遺伝性疾患に配慮した繁殖
この折れ耳遺伝子は骨や関節に負担をかけるリスクを伴います。そのため、「遺伝性疾患等の問題を生じさせるおそれのある組合せによって繁殖をさせないこと」が推奨されています(引用元:環境省)。そのため、きちんと親猫の健康状態や遺伝子検査を開示しているブリーダー、保護施設を選ぶことが重要です。
2. 早期発見がカギ!健康管理で押さえる3つのポイント

(1)定期検診と予防医療
スコティッシュフォールドは関節トラブルだけでなく、内臓疾患や歯周病などにも注意が必要ですね。1年に1回程度の健康診断を行い、シニア期(7~8歳頃)に入ったら年に2回を目安に受診することを推奨しています。
- ワクチン接種:生活環境に合わせて追加ワクチンも検討しましょう。
- 血液検査・レントゲン:関節や内臓の変化を早期に発見できます。
- 体重測定:肥満は関節への負担を増やすので要注意です。
(2)痛みや不調のサインを見逃さない
猫は不調を隠す傾向があります。以下の変化を見つけたら、なるべく早く診察を受けてください。
- ぎこちない歩き方・しっぽを動かさない
- 被毛のお手入れ不足(毛玉が多い、脂っぽいなど)
- 食欲不振や嘔吐、トイレの回数・排泄物の異常
こういったサインは関節以外の病気の可能性もありますので、しっかりチェックしてあげてくださいね。
(3)肥満予防と適度な運動
肥満は関節への大きな負担になります。スコティッシュフォールドは比較的おとなしい子が多い印象ですが、短時間の遊びを1日数回取り入れるといいですよ。
- 食事管理:獣医師に相談しながら、関節ケア成分(グルコサミンやコンドロイチンなど)を含む総合栄養食を選ぶのもおすすめです。
- 遊びの目安:1回5~10分程度、猫じゃらしやボールで軽く動かしてあげると十分ですよ。
3. 折れ耳を守る!耳のケアと衛生管理

● 折れ耳のトラブルを防ぐ
折れ耳は通気性が悪いので、耳垢や耳ダニ、外耳炎などが起こりやすいですね。週1回を目安に耳の入り口付近をチェックしましょう。
- イヤークリーナー選び:アルコールが強いものは刺激があるので避け、獣医師推奨の製品を使ってくださいね。
- ケアのコツ:耳の奥まで無理に拭き取らないようにしましょう。痛がるなら早めに受診してください。
4. 関節への負担を減らす!快適な生活環境づくり
● 段差の工夫
スコティッシュフォールドはジャンプで関節に負担がかかりやすいので、低めのキャットタワーやステップを設置するといいですよ。滑りやすいフローリングにはマットやカーペットを敷いて、足腰の衝撃を和らげるのもポイントですね。
● 消臭剤や芳香剤に注意
猫は嗅覚が敏感なので、強い香りがストレスになることがあります。一部のアロマ成分は猫に有害になる恐れもあるんですよ。製品を選ぶ際は必ず安全性を確認してくださいね(参考:環境省「動物の愛護と適切な管理」)。
5. 毎日のケア:爪切り・ブラッシング・水分補給

● 爪切り
室内飼いの猫は爪が伸びやすいため、巻き爪防止のために2~3週間に1回チェックしてください。半透明の部分を目安に切ると血管を傷つけにくいですよ。
● ブラッシング
短毛・長毛問わず、抜け毛や毛玉のケアは大事ですね。猫がリラックスしているときにこまめにブラッシングすると、コミュニケーションにもなりますよ。
● 水分摂取
尿路結石や慢性腎臓病予防に、十分な水分補給が必要です。循環式給水器を用意してみたり、総合栄養食のウェットフードをトッピングに使ってみると、飲水量アップにつながりますよ。
6. シニア期のケアと注意点
● 関節ケア製品の活用
7~8歳を過ぎると、関節トラブルがさらに進行しやすいですね。サプリメント(グルコサミンやコンドロイチンなど)が含まれた製品を試すなら、獣医師に相談のうえ導入してくださいね。段差の少ないベッドにしてあげることも関節を守るうえで有効な手段ですよ。
● よくある病気の早期発見
シニア期は慢性腎臓病、心臓病、甲状腺機能亢進症などのリスクが高まります。飲水量や呼吸の様子、体重変化など、普段から注意して観察しましょう。また、定期検診を年2回ほど受けると早期発見につながります。
7.最後に
もちろん個体差はございますが、骨軟骨異形成症や関節の変形・炎症などが認められる場合も報告されていますので、飼い主の方には十分ご注意いただきたいです。(参考:日本獣医師会)
もし「ここはどうなんだろう?」など気になることがありましたら、私がお手伝いします。まずは、お気軽にお問い合わせくださいね。
熊谷
参考文献